こうなることは分かっていた。
ずっとずっと君をだましてきたのだ。
「どうして? なんで返事してくれないの?」
君の泣き顔なんて見たくないと思っていた。
泣かせるやつはぶん殴ってやろうと思っていた。
「浅井くん!」
なのに今、君を泣かせているのは僕自身ではないか。
「どうして、こんなことになっちゃったの?」
気の強い君の顔が好きだった。
素直に笑わない君が好きだった。
僕の密かな夢を聞いても笑わない君が好きだった。
「ねぇ、もう無理なの?」
ふつう、女子の泣き顔はブスになるから見たくなかったのに、水谷さんの泣き顔はとてもきれいで、このまま見ていたいと思った。
できることなら、泣き終えたばかりの顔も見たかった。
世界がそれを許さないのだけど。
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とにかく、今までずっと仲良しだったのに本当は相手の命を狙ってましたー、でも情が移って殺すなんて無理ですー、だから僕が死にますよーって話を書きたいんだけど、そのための設定が思いつかないので、こんなことをしてみた。名前は今一番使いたいやつだ。浅井くんと水谷さん。
クイールとマリアの初期設定はこんな感じだったはずなのになぁ。薬漬でやるなら、新キャラ必要だなぁ。でもそういうのが一番似合うとこだよなぁ。あ、華品くんの命狙いますか?(放っといても死ぬって話だ)(あー)
2007/10/12
今立ち止まってはいけない。
君と目を合わせてはいけない。
決心を鈍らせてはいけない。
どうか、どうか。
声を出さないで。音を立てないで。何も気づかないで。
このまま、静かに。
「浅井くん?」
振り返る。水谷さんと目が合う。
不思議そうな顔をした水谷さんが何かを言う前にどうにかしないと。疑問を抱かれたら終わりだ。それだけはいけない。ごまかさないと。
「水谷さん、明日、本返すね」
「え、ああ、うん、やっとか」
「長い間ごめんね」
「気にしなくていいよ。でも突然どうしたの」
「だって、借りたものはちゃんと返さなきゃ」
二人で声を潜めて笑いあう。
大丈夫かな、僕はちゃんと笑えているかな。
「それじゃ」
「また明日ね、浅井くん」
「うん、ばいばい、水谷さん」
明日なんてこないことを僕は知っているのに。
なんて嘘つきだ。なんて怖がりだ。なんて根性なしだ。
手を振って、きびすを返す。
泣きたくなる。
バカみたいに大声を上げて泣きたくなる。
そんなことをして得られるものなんて何もないのに。
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ああー、このままこの二人の話を書きたい。書いてみるかなぁ。あとはここにくるまでの話と、この後の話ですよね。そうなんですよね。全然何も書かれてないんですよね……少し夢見てたみたいです。ちぇ。
2007/10/12
床に撒き散らしてあったビー玉を蹴飛ばし、踏みつける音がした。振り返って、ドアが開いたことにより光が射す自室に目を細める。
そしてようやくこの部屋が暗かったことに気づいた。
「綾斗(あやと)さん」
「基継(もとつぐ)……」
「どうしたんですか、そんな顔して」
笑うとキツネ顔になる。今まで、この笑顔に私はどう返していたのだろう。
顔をそらし、言葉につまる。何と言えばいいのだ。何と言うべきなのだ。
「なんでも、ない」
「心配しなくても、僕はここから逃げたりしませんよ」
びくり、と体が揺れる。
ぱきんぱきん、かつかつ、こつんこつん。後ろから近寄る基継の気配に身を固くした。
不意に、背中に温かさを感じる。触れなくても人から発せられる体温は伝わるものなのか。
耳に息がかかる。ついで首筋を指が這う。
「僕から帰る家を奪ったのはあなたなのですから」
低い声に乗せられた甘い殺気。
彼になら、殺されてもいいと思えた。
嘘だけど。
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っていう、妄想。敬語で笑顔でウソの愛の言葉をささやくお兄さんが書きたい気がする。
2007/10/17
ドアノブを回し、眉間にしわを寄せる。
鍵が開いている、ということは、朝鍵をかけずに家を出たか、家族の誰かが家にいるのか、泥棒が頑張って鍵を開けたのか、もしくは、
「あ、おかえりぃ」
最愛の人が合鍵で家に入ったのかのどれか。
一番最後のでよかった、と胸を撫で下ろしたのもつかの間、彼女の手に握られている包丁に目がいく。
「何、してんですか?」
「何って夕飯作りだよぉ?」
「それは僕のため?」
彼女はにこにこと、微笑んだまま首を横に振る。違うよぉ。明るく笑って言うことなのかな、でも暗い顔して言われても困るな。
「お腹空いたからぁ、なんか食べようと思って切ってたのぉ」
あぁ、と納得してしまうのは、僕が彼女の性格に慣れた証拠だ。出会って間もない頃は、こういう不可解な行動についていけなかった。
首をかしげ、自分の理解できる範囲に持ってくるまで質問を続けていた。それも、遠い記憶だ。
「で、何を切ってたんですか」
一日中はいていたスニーカーは、革靴ほどとは言わなくてもにおうんだろうな。彼女の靴の隣に並べて、一人ご満悦。
包丁の先をあごに当てるという、なんとも見ていて安心できないポーズで彼女は考え、「きゅうりと、おなすと、にんじんかなぁ」なんていう適当な答えを導き出してくれた。
ようは今日の夕飯になるはずだった食材を切ってた、ということだ。きゅうりとなすとにんじんを切って何を作ろう、という考えは働いていないように見える。
「それで、味付けとかは」
「まだだよぉ。あとトマトもあったからぁ、切ろっかなぁって考えてたら、基継(もとつぐ)が帰ってきたのぉ」
「よし、そしたらなすとにんじんでマーボーナスにしましょうそうしましょう。なんと偶然にも僕、マーボーナスの元を買ってきたんですよ、これはなすはマーボーナスになれっていう運命ですね」
彼女の包丁を持つ手に僕の手を重ねる。小さな彼女は僕の胸の中にすっぽりおさまり、きゅうりはぁ? と聞いてきた。きゅうりはサラダにするほかないでしょ、と思いつつそれは口にしないで飲み込む。「きゅうりは、トマトと一緒にサラダにしましょうか」
台所へ立てば、案の定、みじん切りになってないけどぶつ切りというにはいささか細かい状態で切られたきゅうりとなすとにんじんが見えた。唯一の救いは、それぞれが別々の皿に乗せられていることかな。
「弥生さんはそこに座ってテレビを見ていてください」
「早く作ってねぇ。私、お腹ぺこぺこだからぁ」
はいはい、と返事をし、今日買ってきた物たちを袋から出す。
弥生さんは、なんて自由な人なんだろう。
楽しそうにテレビを見る彼女を見て、僕は少しだけ、ほんの少しだけため息を吐きたくなった。
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本当は、この敬語キャラは慎一郎でのネタだった。でも、敬語キャラの基継をつくってしまったので、こっちにしてしまった。だってこの方がおいしく感じるから^^
2007/10/18
黒に近い深緑の縁フレームのメガネの奥からこちらをじっと見る、茶色の目が苦手だった。私の父親を名乗る男の人は、表情の読めない目でこちらを見つめ、何も言わずに視線をそらす。
どうしようもないぐらい、彼が苦手だった。
「綾斗(あやと)、おいで」
優しい声にだまされそうになる。ふらふらと近寄り、伸ばされた腕につかまろうとして顔を上げ、彼の目を見つめ、お互い無言のまま私だけがずり足で後ろへ下がる。
攻撃されたことも、威嚇されたこともないのに、とにかくあの目に見つめられるのが苦手だった。
緊張して身体が固くなる。呼吸がうまくできなくなる。指の先が冷たくなる。声が出せなくなる。
目が、そらせなくなる。
「おとう、さん」
ぎこちない呼び方に、彼はさして気にした風もなくいつものように手を伸ばしてくる。
あの手に撫でられたいと強く望むようになったのはいつからだろう。
あの腕に抱きしめられたいと、強く望むようになったのはいつからだろう。
頬にキスを、触れ合う指に、絡まる髪の毛を。無条件に愛情を得られる母親に嫉妬を抱くようになったのはいつからだろう。
「おとうさん」
「どうした、綾斗」
「わたし、おとうさんが、」
そこで記憶が途切れる。
目の前にいるのは父親ではない。似たような背格好をした別人だ。赤の他人だ。本来ならば一生関わることのなかったはずの人間。
「基継(もとつぐ)」
「なんでしょうか、綾斗さん」
にこり、キツネ顔で笑うその顔は、彼に似ていたのだろうか。私は父親が笑ったところを見たことがないので分からない。母親に聞いてもはぐらかされるだろう。彼女は、私よりも多く、父親の情報を持っていることに優越感を抱いている。
勝者からの優しい施し。
それが基継。母子で愛した一人の男に似た男を側に与える。
「わたしは、」
「綾斗さんは何も知らなくていいと思います」
「もとつ」
「私から、あなたへ向けられる愛情を。その大きさを、深さを」
「もと」
「愛しています、綾斗さん。いつまでも、お側に」
大嘘つきの男に愛をささやかれる日々を送る権利なんて、いらなかった。
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基継にはまりすぎて水谷さんと浅井くんを書いてない罠。がびん。
2007/10/21
基継(もとつぐ)の色素の薄い髪の毛に触れる。さらさらと指の間から落ちていく髪は、気を使って丁寧に扱っている自分よりよっぽどきれいだ。
「どうしたんですか、稜(りょう)さん」
額にキスをされる。それは元旦那のくせだからやらないでね、と言った途端やるようになった。なんていじわるな人。
細い目が一番似ていると思う。彼はたれ目であったけど、彼も基継も目が細い。写真で見比べたら違いがはっきりしてしまうだろう。たれ目とつり目。似ても似つかない顔。でも、好きなのだ。
基継に好きだと言われると、まるで彼に言われているかのような錯覚を起こす。
「基継は優しい子ね」
頭を抱えるようにだきしめ、基継の自由を奪った。すると腰に回されるその腕の感触でさえ彼のものかと思える。
彼はこういう風に触れてくれなかったけど。
「稜さんが大好きですから」
「それ、あの子にも言ってるの?」
顔を上げた基継の笑顔は変わらない。そのままの顔で
「まさか。そんなわけありませんよ」
見え透いた嘘を吐く基継が私はたまらなく愛しいのだ。
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水谷さんと浅井さんも書きたいのに、っていつも思ってる(少し嘘吐いた)
2007/10/22
いつものように朝早くに学校に行った。いつものようにクラスで一番最初に教室に着いた。いつものようにかばんの中からペンケースと携帯と読みかけの文庫本を出す。
いつもと違ったのは文庫本を開いたとき、教室のドアの開く音がしたことだった。
水谷は驚いて顔を上げ、開いた教室前方のドアを見る。ドアを開けた本人は驚いた顔をされたことに驚いたのか、人がいたことに驚いたのか、水谷に負けないぐらい驚いた顔をしていた。
緊張した顔のまま会釈をする。遅れて、水谷も頭を下げた。
「えと、あ、おはようござい、ます」
「おはよう……」
見たことのない顔だ。いくらクラス替えをしてから間もないとはいえ、見たことのない顔がいるはずはない。顔と名前は一致しないが、それでも。
「僕、今日から、このクラスになる、んですけど」
「へー……」
「浅井(あざい)って言います。よろしく」
どこか力の抜ける笑みを浮かべ、少年は水谷に向かって手を差し出した。
「あー、私、水谷です」
「水谷さん。へへ、よろしく」
つられて笑う。浅井の手に無理やり手をつかまれ、握手が成立した。なんとなく、向こうのペースになっているのが悔しくて水谷は浅井から視線をそらし、「なんでこんな時期に転校してきたの?」と尋ねた。
「やっぱり変な時期だよねぇ。一ヶ月早く来れば新学期からだったのに」
水谷の隣の席は確か春日(かすが)とかいう男の席だった気がする。女嫌いだと聞いたとおり、この一ヶ月、彼から徹底的な無視を受けているが、それはクラスの女子全員がいえることだったので気にしない。
その席に座り浅井が水谷に向かって腕を伸ばしてきた。
思わず身構える。何を、声を上げそうになったところで浅井が先に口を開いた。
「リボン、曲がってる」
学校指定のリボンをぐいと回された。
顔の近くに他人の腕があることの圧迫感。水谷は息を詰め、浅井の腕を見つめていた。ブレザーのそでが少しあまっている。小柄な彼はこれからの成長に期待されているのか。おせっかいなことを考え、すぐに目を閉じた。
「はい、これで大丈夫だ」
「ありがとう」
にへら、と笑った顔は素直にかわいいと思う。
すごく個人的な意見だが、彼はこの先これ以上大きくならなければいいのに、と水谷は思った。
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転校生浅井くん。どうなんだろう。
2007/10/22
「浅井くん、帰るなら帰りなよ」
水谷の言葉に、浅井は顔を上げた。頭の上には塗れたタオル(少し前までは冷たかったが、太陽の光をさんさんと受けたおかげで温くなっている)。暑さが得意でないのはその様子を見れば、すぐに分かった。
誘わなきゃよかった、と水谷が後悔している間、浅井はその横顔を見て笑みを浮かべる。普段より幾分力が抜けているが、普段からもそんなに力が入っていないので大した差ではない。
「でも水谷さん見るの好きだから」
水谷の持つホースからはとめどなく水が流れている。花壇に水をまくのが日直の仕事であり、真夏日の日中に水をまいては花に悪いというのを知らない二人は、夏休み前の早帰りの放課後、早くも夏休みモードで幾分騒がしい教室を出て、校舎脇の花壇に立っていた。
水が太陽の光を反射させ、キラキラと光るのを見ているのは気持ちがいい。涼しくなる気がする。
でもそれ以上に、係りの仕事を文句も言わずにこなす水谷を見るのが楽しくて仕方ない。顔はいつものように不機嫌だ。何が楽しくてこんなことを、と言いたそうな顔をしている。しかし、口には出さない。ただ黙々と、仕事だから、の一言で片付け作業をする。そういう水谷を見るのが浅井は好きなのだ。日直にしろ、委員会にしろ、たまたま先生に頼まれた用事にしろ。
女の趣味が分からない、と浅井に向かって言ったのは兄だったか、父だったか。もし、自分の趣味が悪いのだとしたら、兄にしろ父にしろ人のことは言えないと思う。
「浅井くんは、よく分かんない」
そう言った水谷は少し笑っているようにも見え、浅井は頭に乗せていたタオルをつかむ。少し離れていた距離を大またで縮め、隣に立つと自分よりわずかに背の高い水谷を見上げる。
「僕もよく分かんないから、仕方ないよ」
キスをしたいと、唐突に、思った。
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浅井くんと水谷さんの、普通の話だ。顔かわいいのに中身男らしい子が好きです。IKの彼とかね。でもIKの彼は普段から男らしさがにじみ出てるので、むしろかわいい面を見せられたほうがきゅんとしますけどね。
2007/10/29
にこり、嘘くさい笑顔を貼り付け浅井くんは笑う。私はそれを見るたびに胸をかきむしりたくなるような、なんとも言えない気持ちに襲われ、彼に手を伸ばしたくなる。
「そんな、心配しないでよ」
笑う、笑う。変わらない。いつもと変わらない。にこり、首を傾げた。出会ったころならかわいいなぁ、なんて思えていたのに。
それじゃあね、と言い残し浅井くんが180度回転する。
引き止めないと。どこに行くのか問いたださないと。今、ここでやらないと私はきっと後悔する。
「浅井くん」
「ん?」
どうして彼の笑みは変わらないんだろう。――そんなの作りものの笑顔だからだよ。
私は訳も分からず泣きたくなった。
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眠いなぁ。
今、猛烈に創作熱が上がってます。平熱が35度7分だとしたら、今は37度8分ぐらいになってます。微熱。その代わり、普段滅多なことがない限り上がりませんからね。
2007/11/28