「好き」
「ウソ」
「本当だよ」
「絶対ウソだ。だってあっくんあたしにほんとのこと言ったためしがないもん」
「心外だなぁ。オレ、こんなに咲良(さくら)に素直に生きてんのに」
「それもウソだ」
「ほんとだって」
「だって右目が二重になってる」
「関係ないだろ」
「関係あるよ。あっくんウソつくとき右目が二重になる」
「ウッソだー。そんなの聞いたことないよ」
「だって言ってなかったもん」
「そういうウソつかないでよ」
「ウソじゃないよ」
「ウソだ」
「ウソじゃない」
「絶対ウソだって」
「ほんとだよ。ほんとの証拠にあっくんにキスしてあげる」
「……」
「……」
「…………」
「…………」
「気持ちよかった?」
「うん」
「ウソだ」
「ほんとだってば!」
「だって右目、二重になってる」
「咲良ー」
「もう寝なよ。あっくん疲れてんだ」
「うん。……ああ、そっか」
「なにさ」
「うーうん。咲良の気遣いに今気付いたの」
「遅いよ。もっと早く気付けよ」
「ごめんね。ありがと」
「ウソつきあっくんは早く寝てね」
「はーい」
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訳わかんない疲れる問答を繰り返すとアホらしくて寝てやるって気持ちになるよねっていう、話なんです……。この話自体が訳がわかんないっていう。しらん。こういうバカっぷるの話って面白いですよね。私だけじゃないですよね。
2008/01/13
どうしてこうなってんだ。
頭を抱えた男が、布団からはみだした女の白い足を見つめた。
昨日は会社の飲み会に誘われた。トイレに行って、戻ろうとしたらその途中にあったカップル席でケンカをしているのが聞こえた。少しだけ興味を持って、覗き込むまではしなかったがちらっと中を見た瞬間女と目が合い、「あ」と思った途端男がその女の頬をビンタして出て行った。
ほんの数秒の出来事で、男は理解できなかった。
すれ違う男に肩をぶつけられる。よろけて、柱に手を置いたとき、女が声をかけてきた。
そこからの記憶が曖昧だ。
思い出そうとしても、ぷっつりと記憶がない。
女の肌が、どこもかしこも白いことは覚えているがそんな自分に嫌気がさした。
とりあえずここが自分の家で、お互い服を着ていないという状況は非常にまずい。うつぶせで寝ている彼女は苦しくないのだろうか。
布団からすべり出て、エアコンの電源を入れる。機械音とともに温かい風が部屋に広がっていく。
「とりあえずコーヒー……?」
誰ともなしにつぶやけば、枕に顔を埋めた女が反応した。
「あたし砂糖と牛乳いっぱいいれてね」
振り返り、女を見る。
目が合った。つりあがった大きな目に、見覚えがあり、そして、それからゆっくりとこめかみを強く押した。
どうして記憶がなかったのか。
それは思い出したくなかったからだ。
「依子……」
「やっと思い出したの? 遅くない?」
「お前な、てか、なんで……」
ごりごりとこめかみを押す男の表情は苦いままだ。女は笑い、起き上がった。
「あー、やっぱいいね。ほんっとにあの男へたくそでさぁ」
「聞きたくない聞きたくない」
「いーじゃん、何年ぶり? 久しぶりなんだしさぁ、積もる話もあるでしょ」
「外行こう。ここだとお前、なんでもべらべらしゃべんだろ」
「どこでも一緒だと思うよ。ははは」
大学生のとき、向こうから告白をしてきて、向こうから一方的に別れを突きつけられた。付き合っていたのはたったの一週間。だけど、相手からの告白に浮かれて舞い上がって、盛り上がっていたのは自分だけだったみたいだ。女は告白した日の夜、気持ちはもう盛り下がっていたらしい。
それを聞いたのは別れてから一年経って、お互い新しい恋人を作っていたときのことだった。
「あんとき別れたの失敗だったかなぁ」
つぶやきは、もう何度聞いたことだろうか。
そのくせ「もう一回やり直そう」だとか、そういうことは言わないのだからそれぐらいの気持ちなのだろう。男はキッチンに立ち、お湯をわかす。
床に落ちた服を拾うことなく、女が立ち上がった。
トイレ、と言われたので自分の後ろにあるドアを黙って指差す。
「ね、あたしは虎のこと、けっこう好きなんだけど」
すれ違うとき聞こえたセリフは何年か前に聞いたものとまったく同じものだったので、その細い腕をつかんでキスをした。
男の腕の中で満足げに笑う女が憎たらしく思えたが、それを含めて好きだったのは、今も昔も変わっていなかった。
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なんだこれ。勢いに任せて書いてみました。久しぶりに創作やった気がする……。
これから京都行ってきます。きっと創作熱が盛り上がって帰ってくると思います。和創作やりたいんだよなぁ。ぼやぼや。
2008/02/17
「バレンタインだよ、透子」
「……?」
「チョコ!製菓会社の陰謀!」
「……ああ、あぁー、あぁ、あぁ」
「なにその今思い出しましたって顔」
「そういえばどこ行ってもチョコ売り場が出来てたなぁ」
「ないの?」
「ないな」
「手作りとか」
「どうなるか知らんぞ」
「うん、オレが透夜くんに怒られる」
「ないものはないからなぁ」
「透子ってさぁ、ほんっとにイベント興味ないよね」
「そうだな」
「なんかさぁ、別にいいんだけどさぁ、オレばっかそういうの言ってて、ちょっと寂しい」
「……へぇ」
「とーこぉー!」
「なんだなんだ」
「じゃあ今から買いに行こう!ね?」
「……今日の最高気温知ってるか」
「知らない」
「…………」
「いーじゃん!お菓子買ってー、食べようよ!」
「千円渡せば足りるか?」
「とーこひどい!」
「寒いだろ……」
「透子って夏も冬も動かないよね。いつが活動期?」
「春か秋」
「うん、もういい……。じゃあじゃあ、今日はずっと透子、オレのひざの上ね」
「…………」
「おいでおいで」
「…………」
「透子あったかーい」
「慎一郎のほうが体温高いだろ」
「人肌ぬくーい」
「…………」
「よし、じゃあベッドに」
「慎一郎」
「……」
「今日は一日中ここだろう?」
「…………」
「…………」
「ごめんなさい」
「今度チョコ買ってこいよ」
「なんだよ透子も食べたかったんじゃん!」
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たぶん、いつもより慎一郎がアホになってます。そしてこの二人がつきあってる期間ってなんやかんやで短いので、バレンタインは通過しません(付き合い始めを一年早まればいけるけど)
2008/02/27
別れよう、とつぶやいたのは確かに私の声だった。
様々な人間が発する会話と、静かに流れるクラシックをBGMに、私はそう、口にした。
松岡さんは最初ストローをくわえたまま固まって、それからゆっくりグラスをカウンターに置き、「え?」と口にした。とんと理解できない、と顔に書いてあった。
付き合い始めはみっくんと呼んでいたのに、いつから松岡さんと呼ぶようになったのだろうか。それを思い出すのも億劫だ。
「真由ちゃん」
「松岡さんが嫌いになったとか、そういうんじゃないの」
隣りに並ぶ松岡さんの顔が見れない。
嘘だ。私は、自分の冷たい目を彼に向け、これが冗談でも気まぐれでもない真剣な話だということをアピールしたがっている。
その証拠に、私と松岡さんは目が合っていて、私は、花粉症のせいで赤くなった彼の瞳を見つめている。
ここで私は罪悪感を感じるのが適切なのだろうか。それとも、彼氏として何の魅力も感じなくなった男を哀れむべきなのだろうか。
せっかくあなたはいい人だったのに、変な女とつきあったばっかりに振られなくてはいけないのよ。
それとも、
「ほかに、好きな男ができたの?」
そもそもこんな変な女とつきあうような彼が悪いのか。女を見る目がないとか、女運が悪いとか。
何にせよ私は何も感じないし、感じる必要もないのかもしれない。
始まりがあれば必ず終わりがあるわけだし。
「違う、とは言い切れない」
短い時間でしたがありがとうございました。また機会があったら食事でもどうですか、とは言わないけど、彼と食べるご飯がおいしかったのは事実だから、考えるだけに留めておく。口にしたら私ってばすごくいやな子になっちゃうじゃん。
松岡さんが私から顔をそらす。私は彼の横顔を見続ける。こうやってプレッシャーを与えて、彼の頭が働かなくなるのを私は願っている。
性格が悪い。
知ってる。昔から、知ってる。
「ちゃんと別れてから向こうに告白する。みっくんも知ってる人だよ」
再び目が合った。
見開かれたそれは、きっと大きさを計ったら私の目に勝てるんじゃないだろうか。どうだろう、嘘かもしれない。
時間をかけて彼の頭が働いて、導き出した答えは
「篠崎……?」
正解。
「なんで、いつから」
「みっくんに紹介されたとき、いいなって思った」
「だって真由ちゃん」
「たまーにメールしてたよ」
「アイツ何も言わなかった」
「だってそれをにおわすことは何も送ってないもん」
グラスに入ったココアと、氷が溶けた水とが混ざりたがっているのを受けて、私はストローでかき回してやる。これは私の優しさだ。ココアと水に対する優しさであり、薄まったそれを飲む私に対するいじめである。
彼は黙ったままカフェオレを飲む。私は静かにストローを回す。
これ以上彼と話すことはない。
私は私の言いたいことだけを一方的に押しつけて帰ろうとしている。誕生日にもらったネックレスは気に入ってしまったから返したくないけど、彼が返せと言えばいつでもはずすつもりでいた。
彼がそんなことを言うはずがないけど。
「篠崎くんが友達の元カノとつきあうと思わないけど、それでも私はけじめとしてみっくんと別れたい」
私は自分の性格が悪いことを知っている。だからこそ彼と別れるのだ。
私から告白して、私から別れる。一人で浮かれていたのは彼だった。私は告白した時点で気持ちが冷めていた。メールをしても電話をしてもデートをしてもときめきを感じなかった。胸の高鳴りを感じなかった。
何も感じなかった。
「ごめんね、っていうのは違う気がするけど」
ココアの水割りを一気に吸い込む。やっぱり味が薄い。
ズズ、という行儀の悪い音は隣に座っていたギャルの笑い声にかき消された。
もう二度と会わないだろう相手でも、そのへんはあまり、ねぇ? 気にさせろよ、私だって女の子だぞ。
「今までありがとうございました。みっくんはとてもいい人なので私よりももっともっといい子とおつきあいをして、結婚をしたり適度にケンカをしたりイチャイチャして夢を見てたまにそれをぶち壊されたりしてください」
スツールから降り、かばんとコートを抱える。口が半開きの彼に一礼をすると私は振り返らずに店から出た。
3月の日差しは暖かく、コートを着るのが億劫だ。
というのは少し嘘で、冷たい風が吹いた途端、私は腕にかけていたコートを広げる。鎖骨に触れたネックレスは、今月の頭に彼からもらったものだ。
山手線の緑色の座席についてから考える。少しぐらい彼の言い分を聞けばよかった。
優しい彼は何を思っただろうか。
黒いコートが集める日差しを背中に感じながら目をつぶる。
花粉症の彼はティッシュを常備しているから、何が起きても大丈夫だ。
何が起きるかなんて知らないけど。
なんて、嘘だ。
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2008/03/04
あたし、あなたのことがすきみたいなんだけど、どうしたらいいかしら。そんなことおれにきくのかよ。だってやっぱあなたのことだし。たしかにおれのことはおれにきくのがいいのかもしんねぇけどさぁ、だからってこういうことにかんしてきくかぁ、ふつー。やぁねぇ、あたしがふつうじゃないことぐらいあなただったらしってるでしょ。たしかにそうだけどさぁ。だからへたにからまわるよりはちょっきゅうしょうぶできくのがいちばんかとおもったんだけど。まちがってないような、まちがってるような。じゃあしつもんをかえるわ、あなた、どういうひとがこのみ。どうってきかれてもなぁ、せいべつがおんなであれば。そういうこといいだすの。きゅうにこのみとかきかれたらそうなるだろ。ならないわよ。じゃあおまえはどんなやつがこのみなんだよ。あなたみたいなひと。そくとうかよ。あたりまえでしょ、ちなみにあたしはすきになったひとがこのみだから。それじゃあいまのこたえなしだろ。でもいまのあたしのこのみはあなたみたいなひとなんだもの。だからってなぁ。それにひとのこのみってかわるもんでしょ、だってあなた、いまのこのみとちゅうがくせいのときのこのみ、おなじかしら。せいべつがおんなであればっていみではかわってないけど。ばか。ごめん。でもそこがすき。うん、おまえそのままでいいよ、おれそのままのおまえがすきだよ。ほんとに。うん。だったらさいしょっからそういいなさいよ。いて、なんでおこんだよ。なんとなく。おまえってじゆうだよなぁ。そこがすきなんでしょ。はいはい。
そういやきのうぎゅうどんくった。ぶたどんじゃなくて。うん、ぎゅうどん。めずらしいわね。いっつもぶただったからさぁ、たまにはっておもったんだよ。へぇ。そしたらぶたもぎゅうもちがいがわかんなくて。だまされてんじゃないの。かもしんねぇなぁ、ぎゅうどんっていわれりゃそれがぶたでもくっちまうんだろうなぁ。そんするわよ。そうなんだよ、ぶたのがやすいから。あしたはどうするの。どうすっかな、べんとうにするかも。ちかくにあったかしら。べんとうやがさいきんできたんだよ、くってみたくて。ふうん、いいんじゃない。おまえもあしたはべんとうにしようぜ。いっしょにかいにいくの。そう、さいふだけもって。ふふ、たのしそうだけど、だめ。なんで。だってあたしのしょくばとあなたのしょくば、とおいじゃない。あ。いつまでもがくせいきぶんじゃこまりますなぁ。わり。こんどあたしがおべんとつくってあげるからね。
ながかったわね。そうだなぁ。もうなんねんかしら。さあなぁ。あなたっていつまでたってもてきとうよね。おまえはいつだってじゆうだったな。そういうところ、きらいじゃないけど。けど、なんだよ。けっこんしてくれっていわれたの。しょくばのじょうしか、ずいぶんとちょっきゅうだな。たしかにちょっきゅうね、でも、あたしはうれしかった。へぇ。もうねんれいがねんれいだもの。あぁ。いつまでたってもけっこんのはなしをしてくれないおとこより、むこうのほうがいいかもしれないっておもった。そか。おこらないの。おまえがきめたんならおれがくちだすことじゃないだろ。ねぇ。ん。そういってさ、じぶんがせんたくしたわけじゃないってかおしてるけど、あなたはあたしをてばなすってせんたくをしてんだからね。あぁ。あぁじゃないわよ、あなたにとってあたしってなんだったのよ、いままでつきあってたのはなんだったのよ、あたしは、あなたに、いってもらいたかった。けっこんしようって。そうよ、あなたにいわれたらあたし、とつごうっておもってた。でももうおまえ。ことわったにきまってんでしょ、あなたみたいなひとあたしぐらいしかすきにならないんだもの。え。いってくれるのをまつっていうのもあたしのしょうにあわないし。それはたしかに。だから、はい、ゆびわ。は。けっこんしましょ。まてまてまて。なにかしら、きゅうりょうさんかげつぶんじゃないけど、たいまいはたいてかったこんやくゆびわじゃふまんがあるっていうの。ちが、なんでおまえがゆびわかってんだよ。だってまったところであなたくれないでしょ。や、さすがにこんやくゆびわはかうって、けっこんゆびわもかうって。しんようできないからかってきたの、ね、へんじは。ほんっとにさぁ、おまえってちょっきゅうしょうぶだよな。かわらないっていいことだとおもわない。はいはい、いいことだとおもうよ。
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くっそ読みにくいであろうひらがなと句読点しかない文章。はてなもびっくりも三点リーダーもない。そうするとこんなに平坦な文章になるんだねぇ。
2008/03/06
あにきぃ、という情けない声は無視して、今自分の前にある課題と向き合う。鈍い衝撃が肩に与えられた。見なくてもわかる。どうせ肩に額をぶつけてきたのだ。知るか。
オレはところどころをラインマーカーで色づけされたノートを見ながら、こいつをこれからどうしようか考えた。
家出少年ほどやっかいなものはない。
こーこーせーはヒマでいいなぁ、なんて思っても課題はなくならないし、家出少年もいなくならない。あきらめるしかないのか。今夜だけ我慢するしかないのか。
かえりたくないよぅ、あにきぃ。
バカが。そんなもの帰る場所がある人間だけが言うわがままだ。少年の首にぶら下がっているネックレスがちゃり、と鳴った。
きっと今、腹減ったとつぶやけば少年が何か作ってくれるだろう。だけど、それをやればオレはこいつにここにいる存在意義を与えてしまう。ますます帰らなくなるじゃないか。
(頭いて……)
こめかみを人差し指でぐりぐり押し、ノートを閉じた。少年の額を荒っぽくどかす。立ち上がったオレを見上げた少年が「ご飯ならオレ作れるよ」とありがたい申し出をしてくれたけど、首を横に振って断った。
懐かれたのがそもそもの間違いだったのかな。
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や、電車の中で、隣のお兄さんにぶつかってるお兄さんがいて、ねぇ、妄想の末ですよ、ね……orz
2008/05/26
隣の空き部屋に新しい住人がやってきた。
チャイムが鳴ったので玄関ののぞき穴を見る。見えるのはふわふわの金髪。この場合、髪の染色が趣味の若いお姉さんか、地毛の外人かどちらかだと予想するのが一般的だとオレは思う。オレはその二択しか考えてなかった。その二択以外を用意する頭はなかった。
だから、ドアを開けて視界に飛び込んできたきれいな金髪に目をみはったし、ほりの深い顔の中に埋まっているくりくりの瞳の色が青のような緑のような色をしていたから、これは後者か、と自分の中で結果を出して少し固まった。外人ってことは「はろー」とかいわなきゃいかんのか、と。
そうこうしていたら新しい住人である目の前の少女(外人って大人びて見えるっていうけど、この子はオレよりも年下に見えた。オレより年下ってことは高校生とか中学生になるわけなんだけど、それでも違和感がないように思える)はにこっというよりにぱっと笑い、片手を差し出した。
「はじめまして、長澤武史。とてもまじめに生きているようだけど人生の方は上々かな?」
「…………」
ここで笑って言葉をかわせるような社交性、オレにはない。
口を半開きにさせたオレを見上げている少女は「握手はないのか、長澤武史」と出した手をさまよわせているが、どうしろというのだ。
頭いたい。なんだコイツ。
あれ? オレとしては同年代の優しそうな女性が隣に引っ越してきて、「お醤油切れちゃったんですけど、武史さんちにあります?」とかいってうちに来たり、「これ、作りすぎたんで……」とかいって煮物をくれたりするドキドキアパート生活を夢見てたのになぁ。なんだこれ。おかしいだろ。
「私のことはアメミヤとでも呼べばいい。さ、これで自己紹介はすんだぞ、握手はしないのか、長澤武史」
ちんちくりんのアメミヤは八重歯をちらつかせて笑った。
オレの妄想の女性より、十は若いかな。がっかりする自分はとても残念だけど、夢を見るのはタダだ。あー、現実って厳しい。おかしいな、涙が……。っていうのはさすがにウソだけどさぁ!
アメミヤがあまりにもオレからの握手を待っているから根負けしてその小さな手を握った。ひんやりとしたアメミヤの手はなんとなく、気持ちよかった。
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とある場面が書きたくて書き出してみたら想像と違ったし、その場面入ってないし、この流れだとその場面は書けなさそうだ。キャラの性格ってさ、動かさないとわかんないよね……。似たり寄ったりのキャラにがっかりしますが、シチュエーションが違えばばれないと信じてます。にこにこ。
2008/06/13